令和元年度 第3回研究例会

開催概要

日 時:2020年2月8日(土) 14:00 ~ 16:30 (途中休憩あり)
場 所:エルアージュ (L-AGE)小石川 2F集会室 
      文京区小石川1-17-1 クイーンズ伊勢丹上
      都営三田線 春日駅 A5出口 徒歩5分
開 場:13:30
 
<第一部> 
14:00 ~ 15:20 研究発表
発表者:今井智絵さん(横浜国立大学大学院)
進 行:荒川友幸(当会世話人)
表 題:「モンゴルにおける日本語教育の変遷 -日本留学経験者への聞き取り調査から- 」 
要 旨:
 モンゴル国(以下モンゴル)は、日本留学および日本語教育が盛んな国の一つである。 
 モンゴル国内でも日本語学習者は多く、ブレンチメグ・馬場(2009)では 200 人に一人が勉強しているというデータもある。2019 年 4 月には日本とモンゴルの間で特定技能に関する二国間の協力覚書が締結され(法務省 2019)、日本人とモンゴル人の接触が今後さらに増加するものと予想される。 
 モンゴル国内における日本語教育は、「モンゴル国」の前身「モンゴル人民共和国」時代の 1975 年に始まった。実施状況の調査は国際交流基金に加え、守山(2001)やガンツェツェグ(2007)などがあるが、現状についてまとめているだけにとどまっている。そこで、社会的背景を中心に通時的な視点でモンゴルの日本語教育の変遷を明らかにすることを目的とする。 
 本発表では、モンゴルで日本語教育を受けて 1970 年代から 2018 年に日本に留学した経験のある人に行った聞き取り調査を用い、社会的背景について書かれた先行研究や資料と合わせて、日本語学習動機と日本語教育の実施状況について分析した。
 分析の結果として、以下の 3 点を挙げる。(1)1990 年の民主化前後で日本語学習動機に違いがあり、自分の意思で日本語に興味を持って学んでいた社会主義時代から、民主化後は留学や将来を見据えた学習動機も現れた。(2)教師の変遷について、内モンゴル出身の先生から教わった学生が先生となり 1990 年代の日本語ブームを支えたこと、最近は留学経験者の教師も増えているものの日本への就職を目指し人材の流出がみられる。(3)モンゴルの日本語教育の発展には、日本からの公的支援が効果的に行われてきたことに加え、日本の個人や団体からの寄付などの「民間ベースの支援」も影響を与えてきたことが挙げられる。 
参考文献 ガンツェツェグ(2007)「モンゴルにおける日本語教育の改善-自立学習能力を高めるために-」『昭和女子大学大学院言語教育・コミュニケーション研究』2,15-23. ダンザンニャム=ブレンチメグ、馬場久志(2009)「 モンゴルにおける日本語学習者の現状と課題」『埼玉大学紀要』58(2), 145-157. 守山惠子(2001)「モンゴルの日本語教育」『長崎大学留学生 セ ン タ ー 紀 要 』 9,97-105. 法 務 省 (2019) 特 定 技 能 に 関す る 二 国 間 の 協 力 覚 書 http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00021.html (2019 年 11 月 1日) 

 

<第二部>
15:30~16:20 モンゴル現地日本語教育関係者とのオンライン中継
進 行:村上吉文(当会世話人)
会場とモンゴル現地をオンラインでつなぎ、モンゴル日本語教育についての意見交換をおこないます。
当日ご来場できない方も、ライブ中継をご覧いただくことができます。また、オンラインでの質問も可能です。
参加用URL:  https://zoom.us/j/895234830
(YouTubeライブの仕様の変更に伴い、ライブ中継はZoomでの配信に変更となりました。スマートフォンやタブレットの場合はアプリが必要になりますので、事前にGoogle PlayやiTunesから「ZOOM Cloud Meetings」のダウンロードをお願いいたします。)
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参加費:200円(会員) 300円(非会員)  
会場で直接お支払いください。費用は会場代、資料代として使用いたします。
お申し込みはこちらのフォームからお願いいたします。

令和元年度 第2回研究例会

 

今年度第2回の研究例会は、昨年同様京都、龍谷大学で行いました。

「研究発表」と「ワークショップ」です。概要は、下記をご覧ください。

 

参加お申込は こちらのフォーム から

 

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開催概要

 

日 時:2019年10月19日(土) 9:30 ~ 12:00 (10:50-11:00 休憩)

場 所:龍谷大学深草学舎和顔館1階「マルチリンガルスタジオ2」

 

※京阪電車「龍谷大前深草」駅最寄の龍谷大学東門から入ってすぐのスターバックスの横の建物です。

 

<第一部>

9:30 ~ 10:50 研究発表

発表者:竹口智之さん(関西大学)

進 行:近藤正憲(当会世話人)

表 題:「サハリン州における日本語教育の勃興と継続の経緯」 

 

発表要旨:

「サハリン州における日本語教育の勃興と継続の経緯」 

本発表は2018年9月と、2019年3月に行われた現地調査とインタビュー分析をまとめたものである。これまでロシアにおける日本語教育の歴史は、江戸時代期の偶発的なもの(ルィービン2006)と、19世紀後半のウラジオストク(ディボフスキー2009)での調査が著名であった。

しかし、これまでの日本語教育史研究は、その地域性についての考察は十分であるとはいえない。筆者が赴任したサハリン州の日本語教育も、国際交流基金(2002:80)が、「歴史的」「地理的、歴史的な理由で始ま」り、とやや簡略化した文言で触れられているのみである。また、サハリン州の高等教育機関における「東洋学」の設置経緯については竹田(2000)で理解できる。しかしながら、当時の現場の教員・学生がなぜ日本語に触れ、教員生活や学習を継続したかについての省察はほとんどなされていない。教育史の研究は大きく、資料研究(松永2008など)と、口述史(本田2012、田中2018)に分けられるが、本研究では両者を対立するものとしてではなく、補完的な関係として捉えている。

このことから本発表は、1980年代以降のサハリン州での日本語教育史を分析するために以下のデータを用いることとする。一つは、1980年代後半以降、サハリン州で日本語学習・教育に携わった関係者からのインタビューである。いま一つは、サハリン国立図書館に保管されている学長命令書、地元新聞紙などの資料である。これらの資料から、日本語学習の開始と継続(中断)の経緯、教育活動の開始と継続経緯を分析した。

分析の結果は以下のようにまとめられる。(1)日本語教育が開始された当初、経済的な期待が強く、メディアの支援も借りて日本語学習者を募集していた。(2)調査協力者(40代、50代)の多くが、大学教育以前の日本人/日本語/日本文化に触れた経験があり、こういった原初体験が本格的な学習の契機に繋がっていった。(3)国家(ソ連)崩壊前後の経済混乱が日本語(教師)を続ける一つの分岐点になった。

ロシア人学習者、教員のインタビューから以下の示唆が得られる。調査協力者の何人かは日本語教育を大学で修了後、一旦は日本企業への就業を考えていたが、日本の企業文化に馴染めないなどの理由でその道を諦めている。現在、国家政策として人材不足解消のために外国人の受け入れを進めているが、日本語を学習した海外の学習者を日本企業に就業するためには、学習者の日本国内における社会的地位の保障・確保も必要になってくる。

 

 

<第二部>

11:00~12:00 ワークショップ

ファシリテーター:近藤正憲

進 行:三原龍志(当会世話人)

表 題:「『やさしい日本語』を海外の日本語教育現場に」

 

発表要旨:

「やさしい日本語」を世界の日本語教育の現場へ

近藤正憲

「やさしい日本語」は自然な日本語に一定の人為的な制約を加えて「聞き手にとって理解しやすい日本語」を産出する試みです。現在、日本国内の外国籍住民の増加を背景に、災害時の情報提供や行政文書の簡略化など、日本国内の様々な場所で活用が図られています。

一方で、「やさしい日本語」は海外の日本語教育の現場ではほとんど見向きもされていません。しかし、「やさしい日本語」は、日本語母語話者にとって、他の言語習得という難行苦行を経ることなく日本語非母語話者とコミュニケーションできる唯一の方法です。海外における日本人と学習者との接点に利用することはおそらく可能だと思います。その活用方法を一緒に考えてみましょう。

今回のワークショップでは「やさしい日本語」の歴史を振り返り、「やさしい日本語」のつくりかたを体験します。そのあとで、「やさしい日本語」の利点と限界もお話しした後で、海外でも利用できる、いくつかの「やさしい日本語」利用に役立つデータソースをご紹介します。

 

なお、同日午後1時より同じ龍谷大学深草学舎22号館102教室において、公益社団法人日本語教育学会主催「日本語教育推進法を知ろう!〜あなたはどうする?〜」が開催予定です。詳しくは日本語教育学会のサイトをご覧ください。 

 

参加用URL: https://zoom.us/j/198817412

(YouTubeライブの仕様の変更に伴い、今回からZoomでの配信になります。スマートフォンやタブレットの場合はアプリが必要になりますので、事前にGoogle PlayやiTunesから「ZOOM Cloud Meetings」のダウンロードをお願いいたします。)

令和元年度 第1回研究会

開催概要

 

日 時:2019年6月8(土) 13:30 ~ 16:00 (14:50-15:00 休憩)

場 所:エルアージュ(L-AGE)小石川 2F集会室 

      文京区小石川1-17-1 クイーンズ伊勢丹上

      都営三田線 春日駅 A5出口 徒歩5分

 

<第一部> 

13:30~14:50 海外日本教育実践報告

 

発表者:

1. 馬場葉子さん(元JICA青年海外協力隊 インドネシア 日本教育

2. 浅野鉄也さん(元JICAシニアボランティア ベトナム 日本教育

 

進行:小林基起(当会世話人)

 

表題1:インドネシアでの日本教育活動(仮題)

要 旨:

JICA(国際協力機構)青年海外協力隊としてインドネシアで日本教育に携わった経験について報告します。配属先の国立リアウ大学教育学部日本教育学科では、学生への授業を中心に課外活動のサポートを行い、学生が自主的に取り組む工夫をしました。また、JF専門家を呼んで教師対象のワークショップ(カリキュラムについて)を企画実施しました。最後に、協力隊を含むこれまでの経験を現在の職場であるJICAでどのように活かしていきたいかについても触れます。

 

表題2:ベトナムにおける日本教育を考える(仮題)

要 旨:

JICA派遣のシニアボランティア(日本教育担当)としてベトナムの北部バクザン省と南部ホーチミン市で日本教育活動等に携わった経験をもとに、それぞれの地での日本教育学習事情について考えます。はじめにベトナムでの日本教育に携わるJICAボランティアの概要に触れた後、当初の任地である北部バクザン省外務局での日本教育等の活動と同地の送り出し機関等を通して得られた日本への留学生や技術実習生の実態について報告します。次に、任地変更後におけるホーチミン市オープン大学での13か月に及Can-doに軸足を置いた活動の概要と大学、教師、学生それぞれが抱える日本教育、学習に関する課題を、その間に得られた他大学での様子にも触れながら報告します。

 

スライドをこちらでご覧になれます。

 

<第二部>

15:00~16:00 研究発表

 

発表者:余 文龍さん(京都大学大学院生)

 

進 行:吉田一彦(当会世話人)

 

表 題:中国話者上級日本学習者のライティングに対する 日本人大学生の評価の課題

 

要 旨:

本発表の目的は、中国話者日本学習者が書いたライティングを通して、話者評価者としての日本人大学生の評価から観察した一連の課題を明らかにすることである。説明文と意見文を取り上げ、それぞれについて1つの課題文を作り、上級レベル学習者30名に初稿を書いてもらった。その後、協働学習と自己訂正を行い、修正稿を書いてもらった。集まった2つの課題文のライティングの初稿と修正稿を、1つの課題文につき10名ずつの日本人大学生を評価者として評価してもらい、またその評価の根拠を記入してもらった。その後、評価者全員にフォローアップ・インタビューを実施した。その結果、①ある特定の要素において、評価者がマイナスに評価しやすいという傾向があること、②評価者間が評価における「重視点」「評価方法」というような評価者間の差異が存在し、それらの差異は評価に影響を与えること、③評価者が修正稿を評価する際に初稿の評価が強く影響し、修正稿を高く評価することが観察された。本発表では、今後の日本教育おける日本人大学生の評価の利用の留意点についても言及する。    

 

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参加費:200円(会員) 300円(非会員)  

会場で直接お支払いください。

費用は会場代資料代として使用いたします。

 

お申し込みは▼こちらのフォームからお願いいたします。

 

当日ご来場できない方も、ライブ中継をご覧いただくことができます。

また、オンラインでの質問も可能です。

 

【ライブ配信ページ】
ベトナムにおける日本語教育
この研究例会で使用されたプレゼンテーションのPDF版です。
ベトナムにおける日本語教育PDF版.pdf
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